2006年05月16日
(56)バッガモナン
闘技場を見下ろす観客席で、バッガモナンと帝国軍の隊長が罵り合っていた。
「聞こえなかったか? オマエらはバカで能無しと言ったンだよ。空賊ひとりの顔もわからンとはな」
「いい気になるなよ、バッガモナン。貴様の言うことが正しければ、その空賊を捕らえたのは我々だ。我々、帝国軍が捕らえたのだ。貴様のような薄汚い賞金稼ぎの手を借りなくとも──我々だけで秩序を作れるのだ」
「あぁン? よく聞こえねぇな」
「バルフレアを殺る前に──」
バッガモナンは、垂れ下がった長い耳をかきあげて、よく聞こえないというわざとらしいジェスチャーをした。
のっしのっしと近づくと、隊長の顔をびしりと指差す。
「オマエを殺ってもいいンだぜ?」
物騒なバッガモナンの発言に、周囲の兵士の手がが剣の柄に伸びた。
いつでも剣を抜ける中腰の体勢のまま、周囲の兵士がバッガモナンとその一味を睨み付ける。
周囲に一触即発の緊張が走った。
どちらかの命令一声で戦闘がはじまる・・・まさにその瞬間。
「そのへんでやめておけ。バッガモナン」
よく通る声が辺りに響いた。
闘技場の外の檻で様子を伺っていたヴァン達だが、響いた声にフランが反応した。
「ジャッジ──!」
ヴィエラ族特有の鋭い第六感で、近づいてくる男の雰囲気を察知しているのだろう。
フランは怖れにも似た感情を顔に浮かべながら、少し動揺しているかに見えた。
バッガモナンは、垂れ下がった長い耳をかきあげて、よく聞こえないというわざとらしいジェスチャーをした。
のっしのっしと近づくと、隊長の顔をびしりと指差す。
「オマエを殺ってもいいンだぜ?」
物騒なバッガモナンの発言に、周囲の兵士の手がが剣の柄に伸びた。
いつでも剣を抜ける中腰の体勢のまま、周囲の兵士がバッガモナンとその一味を睨み付ける。
周囲に一触即発の緊張が走った。
どちらかの命令一声で戦闘がはじまる・・・まさにその瞬間。
「そのへんでやめておけ。バッガモナン」
よく通る声が辺りに響いた。
闘技場の外の檻で様子を伺っていたヴァン達だが、響いた声にフランが反応した。
「ジャッジ──!」
ヴィエラ族特有の鋭い第六感で、近づいてくる男の雰囲気を察知しているのだろう。
フランは怖れにも似た感情を顔に浮かべながら、少し動揺しているかに見えた。