2006年03月19日
(14)最後の言葉
「戦争は終わったのだよ、将軍」
黒衣の男は、ゆっくりとバッシュの前に回りこんだ。
「ダルマスカは我が帝国に敗れた。だが我々はダルマスカに敬意を払い、それなりの主権を残そうと努力していたのだ。それも全て、将軍。君の、せいで、台無しだ」
「我々は帝国に屈しない!」
「ダルマスカの民は、さぞかし君を恨むだろう」
「将軍を連れて行け!」
男が命令した時、レックスの意識も限界だった。
レックスは床にがくりと崩れ落ちる。
もう指1本動かせない。
自分の呼吸音が、自分から遠ざかっていくのが分かった。
静寂と闇が、自分を支配していく。
最後に、残された家族、最愛の弟のことを思った。
薄れ行く意識の中で、弟の名を呼ぶ。
「───ヴァン」
黒衣の男は、ゆっくりとバッシュの前に回りこんだ。
「ダルマスカは我が帝国に敗れた。だが我々はダルマスカに敬意を払い、それなりの主権を残そうと努力していたのだ。それも全て、将軍。君の、せいで、台無しだ」
「我々は帝国に屈しない!」
「ダルマスカの民は、さぞかし君を恨むだろう」
「将軍を連れて行け!」
男が命令した時、レックスの意識も限界だった。
レックスは床にがくりと崩れ落ちる。
もう指1本動かせない。
自分の呼吸音が、自分から遠ざかっていくのが分かった。
静寂と闇が、自分を支配していく。
最後に、残された家族、最愛の弟のことを思った。
薄れ行く意識の中で、弟の名を呼ぶ。
「───ヴァン」